創業・嘉永年間の漆器と陶器の専門店/石川の伝統工芸をお届けします

お気軽にお問い合わせ下さい tel.0767-52-4141

沈金教室実施しています

山中塗について

石川県が誇る漆器の産地山中町

山中塗漆器
山中天然記念物大杉
山中天然記念物大杉

山中塗(やまなかぬり)は、石川県加賀市の山中温泉地区(旧:石川県江沼郡山中町)で1500年後半頃より生産されている漆器です。

加賀市は、石川県の最南端に位置し、16.5kmに及ぶ美しい海岸線は越前加賀海岸国定公園に指定されています。また、東には霊峰白山を仰ぎ、南には大日山をはじめとする自然豊かな山々が連なっております。

木目の美しさや温もりを大切にする山中漆器は世界の人から愛され、国内生産額でも一位を誇ります。

山中塗の歴史

山中漆器のはじまりは、安土桃山時代の天正年間(1573~1592)です。諸国山林伐採の許可書を持つ木地師(きじし)が越前(福井県東北部)の山間部より石川県山中温泉の上流20Kmにある真砂(まなご)地区に移住し、「轆轤挽き物(ろくろひきもの)」の技術が伝わったのが起源といわれています。

第2次大戦によって一時的に中断した時期がありながらも、山中漆器の伝統技法は高く評価され、全国に名を知られていきます。親しみのある大衆的な塗り物として支持される一方、繊細な加飾挽きや優雅な蒔絵の美しさは、その芸術的価値も認められています。

昭和30年代に入ると山中町と加賀市に工場や生産団地が造られ、合成樹脂や科学塗料を導入しました。それにより多様なデザインと機能性に優れた低価格の商品が多量生産され、1970年(昭和45年)以降に大きな発展を遂げています。

山中塗は1975年に経済産業大臣指定の伝統的工芸品として認定されており、人間国宝の川北良造さんもおられます。伝統王国と言われている石川県では「木地の山中」「塗りの輪島」「蒔絵の金沢」と称され、山中漆器は木地がとても有名です。

山中塗の美しい漆器の紹介とともに、その成り立ちを説明していきます。

山中塗の美しい木地

山中塗 盆

木地挽きを生業とした木地師たちは真砂(まなご)から山中へ移り商売をはじめます。当初は白木地の挽物で、湯治客を対象とした土産物が主で、山中漆器の基礎が築かれました。その後1600年から1800年にかけて全国から名工を招聘し、技術導入によって山中塗は発展します。そして、様々な技法が開発され、山中塗はその技術から有名になります。

木地師たちが移り住んで生まれたのがきっかけですので、木地を美しく見せる技法が山中塗の大きな特徴です。その中で、加飾挽(かしょくびき)と拭き漆(ふきうるし)があります。

◇加飾挽(かしょくびき)

山中塗 椀

轆轤を回しながら木地に刃物をあて模様を付けることを加飾といいます。
山中漆器の加飾で特徴的なのでは木地の表面に平行に細かな筋目を入れる「筋挽」と呼ばれる装飾法です。
その他に、1本ずつ等幅に細い筋を引く「千筋」、荒々しくランダムに筋を入れる「荒筋」、針状のもので細く繊細な筋を入れる「毛筋」や「糸目」、カンナの刃先が跳ねながら削る「トビ筋」、稲穂の模様に削る「稲穂挽き」など、その技法は数十種類以上にも及びます。
また、木地挽きに使われる鉋(カンナ)は器のデザインによって異なり、この鉋を挽物職人が自ら製作するという他には類を見ない技法で高く評価されています。
轆轤挽物木地の分野では、職人さんの質・量とも国内トップの位置にあり、縦木取りをはじめとする山中独自の木地挽物技術には、他産地の追随を許さぬものがあります。

◇拭き漆(ふきうるし)

山中塗 鉢

山中漆器の魅力の一つは、とてもシンプルな作りで、木目を生かす技法が使われている点があります。琥珀色をした生漆を木地に塗っては拭き取る作業を繰り返し、磨き上げられた山中漆器は、漆を塗ったあとも木目が見える器に仕上がります。それが「拭き漆」と言います。
拭き漆で仕上げた作品は、艶を持ちながら凛とした美しさも持ち、手にしっとりと馴染むような仕上がりとなっています。また、拭き漆は下地が隠れないため、木地にごまかしはききません。国産の良質な木を使うことで自然を感じ、多様な木目模様の美しさをお楽しみいただくことができます。

山中塗の美しい塗り

山中塗 胴張型花入れ あけぼの塗
山中塗 胴張型花入れ あけぼの塗

木地師がつくったこの山中塗も木地だけが発展したわけではありません。花入れやお椀として美しい塗にもこだわり、美しい漆器を追求しました。その中で、山中塗特有の塗も生まれましたその代表的な塗りが独楽塗(こまぬり)と朱溜塗(しゅだめぬり)です。

◇独楽塗(こまぬり)

独楽塗(こまぬり)

独楽塗は江戸中期に庶民の間に流行り、子供には目を惹くよう色とりどりに色付けされた塗り方を言います。
カラフルな色を蒔絵師が轆轤を回しながら筆で一本一本入れていきます。その様はまるで独楽の面のような仕上がりから、独楽塗と言われています。
独楽は「運気がまわる」などと言われて縁起が良く、この少し派手目のデザインは、お正月などのおめでたい宴席もぴったりです。

◇朱溜塗(しゅだめぬり)

朱溜塗(しゅだめぬり)

朱溜塗とは、朱の上に溜漆を塗り重ね磨いたもので、時間が経つほどに朱色が透けて明るい色に変化していきます。美しく透明感のある飴色の漆なので、下地に使う漆の色によって見える色合いが異なります。漆独特の透明感のある赤褐色で、この色は漆でなければ出せない美しい色です。

山中塗の制作工程

漆器が制作されるまでには、大きく分けて木地・下地・上塗・蒔絵の 四工程にそれぞれ7〜8年の修業でようやく一人前という職人さん達の技術の積み重ねによって作りあげられます。ここではその制作工程を紹介させていただきます。

◇木地

木地

山中塗の主な材料は、国内優良のケヤキ、トチ、サクラ、クリなど使用しています。堅牢な木々を輪切りにし、型に合わせて大小さまざまな木地(きじ)をとります。縦方向に沿って木地をとる「縦木取り」は山中漆器独自の手法です。
「縦木取り」の木地挽きは、横方向に沿って木地をとる「横木取り」と比べ、木質の狂いや歪みが少ないという特長があります。

山中漆器ろくろの里

型に合わせてカットしたものを乾燥した後、鉋(かんな)や刃物を用いて回転させながらくり抜く「轆轤(ろくろ)挽き」を行います。
木地師は自ら鍛冶(かじ)をした道具にこだわり、一人ひとりが持つ高度な技術で繊細な加飾を施していきます。木地の表面を加飾する意匠「加飾挽き」の種類は、「糸目筋」「ろくろ筋」「びり筋」など約50種類とバリエーション豊かです。
「加飾挽き」の伝統的技法は山中漆器の特徴で、美観を与えるとともに滑りを防ぐ実用的な効果もあります。

◇下地

下地

木目の中まで漆を吸わせて木地の狂いを防ぐ「木地固め」、木地の穴や裂け目を充填する「刻苧(こくそ)」、高台や縁に麻布を貼って補強する「布着せ」などを行います。
続いて、糊漆と地の粉を混ぜた「下地漆」を木べらで塗っては研ぐ「塗り研ぎ」を繰り返して強度を高め、表面を滑らかにします。
最後に砥の粉を漆で練った「錆地(さびじ)」を木べらで全体に薄くつけ、乾燥させた後に滑らかと艶が出るように研ぎます。

◇上塗り

上塗り

下地作業の後は、塗師が黒色・朱色などの漆をハケで塗る工程に入ります。この作業は漆独特の深みのある色合いを出すための大切な工程で、「下塗」「中塗」「上塗」と、漆を何度も塗っては研ぐ作業を繰り返しながら進みます。
塗った漆が固まるためには湿気が必要とされ、日々の天候などにも左右されるため、作業には細かい配慮が必要です。また、空気中のわずかなホコリやチリも付着させないように全神経を集中させる必要があります。
工程はざっと150以上あり、想像以上に大変な手間なのですが、細かな工程を丁寧に惜しまず行う事で、丈夫で美しい漆器が完成します。日常使いの漆器は、この上塗のみで仕上げます。

◇蒔絵(まきえ)

山中塗 蓋付吸物椀 立梅赤5客揃

山中塗 蓋付吸物椀 立梅赤5客揃

上塗りの後に、絵や図柄などの装飾をほどこす「加飾」が行われる場合もあります。「加飾」には、漆で文様を描いてから金・銀粉を蒔き、加工や研磨をする「蒔絵(まきえ)」の工程があります。

山中漆器の代表的な「蒔絵」の技法は、「研ぎ出し蒔絵」「高蒔絵(たかまきえ)」などです。「研ぎ出し蒔絵」は、粉を蒔いて乾かした後に漆を塗り、木炭などで金や銀が見えるまで研ぎ出します。高く盛り上げる蒔絵技法の「高蒔絵」は、貴族によって育まれたと言われており、優雅な気品に満ちています。
また、金箔を付けて金線文様をあらわす「沈金(ちんきん)」や、文様の形に切った貝殻の薄片を装飾する「螺鈿(らでん)」なども加飾の技法です。

石川県は金沢に蒔絵のイメージがあるので、山中塗には木地のイメージしかありませんが、漆器が発展した山中塗ももちろん蒔絵が発展しました。素晴らしい蒔絵師さんがおられますし、素晴らしい蒔絵が彩られた漆器が豊富にございます。
また、豪華な高蒔絵を施したお重や茶道具、特に、茶道具の棗(なつめ)の制作には定評があります。

山中漆器の育て方

最後に、山中漆器を手にして長く付き合うために、ぜひ知っておいて欲しいことがあります。漆器の個性や特徴を理解したうえで付き合えば、漆器は手をかけるほどに美しく趣を増して答えてくれます。

◇漆器の上手な使い方

季節や気分にあわせて、さまざまな器に料理を盛り合わせて見た目や手ざわりや口ざわりとともにいただきましょう。木製ですから熱伝導率が低く、保温性保冷性に優れています。
温かいものは温かく、冷たいものは冷たくということですね。ただし電子レンジは使用できません。物を温める際に電子レンジが発生するマイクロ波は、木材内部の水分子にも働きかけるため、内側から傷みがきます。

◇漆器のお手入れ方法

日本人ならやっぱり漆椀でお味噌汁を飲んでみたい願望。私にお手入れができるのかな?とうい疑問が生まれるでしょう。でも、漆器は陶磁器やガラス食器と同じように中性洗剤で洗うことが出来ます。
普通の中性洗剤を使い、スポンジの柔らかい面で洗ってあげましょう。他の洗い物より先に湯水につけて、ご飯などのこびり付いた汚れをふやかして洗うと良いでしょう。
タワシや磨き粉やスポンジの硬い方などでゴシゴシ洗うと細かい傷がつき肌つやが無くなります。そのまま洗いかごで自然乾燥してもかまいませんが、水気を拭きあげると肌つやがよくなります。
自然乾燥の場合、水質によって水垢が気になる地域もありますのでご注意ください。また食器洗浄機や食器乾燥機は木地と漆塗膜をいためるためお使い頂けません。

◇漆器の置き場選び

漆器のほとんどの部分は、木でできています。木材は乾燥していてもわずかに水分を含んでいるため、極端な乾燥に継続してさらされると肌荒れしてきます。
毎日使用したり洗ったりすることによって水分を与えることで、漆器もよろこんでくれます。また、漆器は長時間直射日光を浴びないところを好みます。
これは有機物を分解する力をもつ紫外線を避けるためです。長く使用しない場合は、柔らかい紙や布等に包んで、日光に当たらない所におしまい下さい。

山中塗の現在

現在、山中漆器は山中町と加賀市に漆器団地を形成し、製造工程別 の分業による量産体制を確立しています。地場産業としては、全国トップの生産額を誇る一大産地へと飛躍的な発展を遂げています。今後も400年を誇る歴史と伝統を継承しつつ、さらに新しい技術を駆使しながら新素材・新市場の開拓に努め、時代のニーズにマッチした商品づくりを積極的に推し進めています。

◇木質(木製)漆器の誕生

山中塗 翔鶴梅型鉢(木箱入り)
山中塗 翔鶴梅型鉢(木箱入り)

昭和33年頃には木製漆器を基盤とし、食器類を中心に発展してきた山中漆器にも樹脂がとり入れられました。木くず(木紛)と樹脂で形成された木地は伝統的な木製漆器に加え、低廉価格で多様なデザイン・機能性を持った山中漆器の市場はより一層拡大し、国内外のさまざまな需要に応えてきました。
そして多様化・個性化するライフスタイルに対応した食器やインテリア用品などの新製品開発に力を注ぎ、ギフト、ブライダルをはじめとする新分野へ進出したというわけです。
天然木の木製漆器と樹脂加工の木質(木製)漆器の特徴や使用感はそれぞれ違いますので、用途によって使い分けるといいですね。

◇抗菌などの作用も

漆器には抗菌作用があるという研究結果もあります。漆器にご飯やお料理を盛りつけた後も細菌の繁殖をおさえてくれる作用があるそうです。新型コロナウィルスへの効果は検証されてはいませんのでわかりませんが、目に見えないものへの不安を少しでも軽減し、安心して食卓を囲む器としてお使い頂ければと思います。

オススメの山中塗

山中塗で製造されている漆器の種類には、お椀・菓子鉢・銘々皿・壺・花瓶等のほか、小箱・時計などがあります。その様式は伝統的な漆器のデザインから、モダンデザインと言われる新しいものへの取組まで幅広く作られています。

漆器はけっして格式ばったものではなく、軽くて丈夫で抗菌性や断熱性もある、機能的で使い勝手の良い器です。
機会があれば、ぜひ山中漆器を手にとって、そのぬくもりを感じ、日本の自然と日本人の技術から生まれた美を味わっていただきたいと思います。

※詳しい商品説明は、各商品ページをご覧ください

  • 山中塗 胴張型花入れ あけぼの塗
  • 山中塗 花嫁おわん・花婿おわん
  • 山中塗 欅木地蓋付夫婦椀 梅松葉
  • 山中塗 6.0片口鉢縁布貼古代朱
  • 山中塗 翔鶴 9.0丸盆
山中塗の作品はこちらです